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MATERIAL
 

ゴールド
ゴールドは可鍛性と延性にすぐれた金属です。わずか1グラムのゴールドで1平方メートル四方の金箔を作ることができます。金箔はさらに薄くのばすと、半透明になります。これに光を通すと緑がかったブルーの色が現れます。これはゴールドが黄と赤を強く反射するためです。
ゴールドは他の金属と一緒にして簡単に合金を作ることができます。こうして合金にすることで、硬度を増したり、エキゾチックな色を作り出したりすることも可能です。自然金には普通8%から10%のシルバーが混じっていますが、シルバーの含有量が20%を超える合金は、エレクトラムと呼ばれます。シルバーの量が増すにつれ、合金の色はより白っぽくなり、重量は軽くなっていきます。

ゴールドは熱と電気を通し、空気や試薬による影響を受けません。熱、湿気、酸素、そしてもっとも腐食性の高い薬剤でさえ、ゴールドに化学的影響を及ぼすことはほとんどありません。硬貨や宝飾品にふさわしいのはこのためです。しかし、ハロゲンはゴールドを化学的に変化させることができ、王水はクロロ金酸塩イオンの組成によってゴールドを溶かすことができます。

 

プラチナ
純粋なプラチナは、グレーに近い白で、固い金属です。また、耐食性があります。6種類の白金属元素には実に優れた触媒活性があります。この触媒活性により、プラチナは触媒コンバーターとしても利用され、自動車の排気システムやスパークプラグの先端に取り入れられています。
プラチナの耐摩耗性、耐食性といった特徴は、高級宝飾を作るのに大変適しています。プラチナはゴールドよりも貴重な金属です。プラチナの価格は入手の可能性に応じて変動しますが、通常は、ゴールドの価格の150%をやや切る程度です。18世紀には、プラチナがあまりに珍しい金属であったため、フランスのルイ15世が国王しか身につけてはならないと宣言したほどです。
プラチナは薬品や高温に強く、電気的性質も安定しています。こうした性質により、工業用の目的で多く利用されてきました。プラチナはいかなる温度下にあっても酸化することはありませんが、シアン化物、ハロゲン、硫黄、苛性アルカリによって腐食してしまいます。また、塩化水素や硝酸には溶けませんが、王水として知られる混合物には溶けます(塩化白金酸を形成)。

ダイヤモンド
ダイヤモンドは技術的にいえば、四面体的につなぎあわさった炭素原子の透明な結晶であり、それが面心立方のダイヤ型格子構造に晶化したものです。ダイヤモンドは、そのまれな物理的特性ゆえに、大変多くの用途に利用されてきました。特にその硬度、拡散指標と熱伝導性(900~2320W/m K)の高さ、そして融点が3820K(摂氏3547度)、沸点が5100K(摂氏4827度)であることはよく知られています。〔5〕自然にできるダイヤモンドの密度は3.15から3.53 g/cm3で、純度の高いダイヤモンドの密度は、3.52g/cm3にきわめて近いのも特徴です。

ダイヤモンドは人類が知る中で最も硬い自然物質です。ここでいう硬さとはひっかいたときの耐性と定義されています。ダイヤモンドの硬さは鉱物の硬さをあらわすモース硬度で硬度10(いちばん硬い)に相当します。ダイヤモンドの硬さは大昔から知られており、ダイヤモンドという名前のいわれにもなっています。

サファイアクリスタル
人工サファイアとは正確には何なのでしょうか。それは、きわめて高い温度で酸化アルミニウムを結晶化させて作られた透明の物質です。化学的には人工サファイアは宝飾で使われる天然サファイアと同じものですが、貴石に様々な色合いをつける色素剤は含まれていません。

熱を加えると、人工サファイアは小さな塊になり、それを、ダイヤモンドをコーティングしてのこぎりでディスク型にスライスします。これらのディスクを削り、磨いて、時計用のクリスタルに仕上げます。サファイアは地球上で最も硬い物質のひとつです。モース硬度では硬度9にあたります。モース硬度とは、様々な物質の相対的硬さを等級分けするためのひとつの指針です。人工サファイアで作られた時計用クリスタルは、しばしばひっかき抵抗がある物質、すなわちとても硬いが、傷がつかないわけではない物質として売買されています。ダイヤモンドを使うと傷をつけることはできます。また、モース硬度9と10の間にあり、ダイヤモンドに似ていてサファイアよりも硬い物質シリコンカーバイドを組み入れた人工的な物質でも傷をつけられます。これらの物質は、家具や壁の表面を人工岩風にする際にときおり使われます。人工サファイアでできた時計をはめているときは、そういった個所に時計をひっかけないよう気をつけないと、傷がつく恐れがあります。

PVDコーティング
物理蒸着法(PVD)とは、真空蒸着のひとつで、蒸気化した物質を凝縮させることで様々な表面に薄いフィルムを蒸着する方法をあらわすのに使われている一般用語です。コーティング方法には、化学真空蒸着で蒸着される化学反応のみならず、高温真空蒸着やプラズマスパッタボンバードといった純粋に物理的な過程を経るものも含まれています。物理蒸着法という言葉が最初に使用されたのは、1966年に刊行された本「蒸着法」という本の中でした。

PVDの種類(古い順)
・蒸着法;被覆する物質を、高真空で電気抵抗性加熱により高蒸気圧まで加熱する。
・電子ビーム物理的蒸着法:被覆する物質を、高真空で電子衝撃により高蒸気圧まで加熱する。
・スパッタ蒸着:グロープラズマ放電(通常、磁石でターゲット周辺を特定する)で照射し、高エネルギーの粒子を衝突させて物体の表面から原子を放出することで蒸気として付着させる。
・陰極アーク蒸着:ターゲット物質に照射された高パワーアークが、その一部を蒸気に変える。
・パルスレーザー蒸着:高パワーレーザーがターゲットから物質を削摩して蒸気に変える。

PVDは、表面が粗く熱に強い物質の加工に使われています。

さまざまな技術がありますが、ウォッチケースのできばえはまさに目を見はります。深いブラックは、色が長持ちします。